自己破産の流れとポイント
1 自己破産の流れ
自己破産は、大まかには、以下のような流れで進行します。
①申立てに必要な資料収集・書類作成
②申立書等を裁判所へ提出
③裁判所や管財人による調査や審査、債権者への配当等
④免責許可決定・破産手続廃止決定
ただし、債務者の方の状況等によっては、省かれる手続きもあります。
以下、それぞれの段階の内容とポイントについて、説明します。
2 申立てに必要な資料収集・書類作成
自己破産は、債務者の方が「返済不能」に陥っていると認められる状況でなければ行うことができない手続きです。
まず家計表を作成し、手取り収入から生活に必要な支出を差し引いた額(返済原資)を正確に計算します。
また、債権者に連絡をし、正確な債権額(債務者の方の借金の金額)を書面で回答してもらいます。
並行して、債務者の財産の状況について、客観的な資料をもとに把握します。
主な資料としては、過去数年分の預貯金通帳の写し、保険証券と解約返戻金額計算書、自動車の車検証の写し、不動産の査定書と登記事項証明書、過去数か月分の家計表、給与明細または確定申告の控え、源泉徴収票と課税証明書等の収集が必要となります。
資料によって、めぼしい財産を持っていないことが示せる場合には、同時廃止手続きにできる可能性もあります。
また、返済不能な金額の債務を作ってしまった理由についても、説明が必要です。
特に、ギャンブルや浪費によって借金を作った場合には、免責不許可事由に該当してしまうことから、裁判所に裁量免責を検討してもらうため、反省文等を作ることもあります。
3 申立書等を裁判所へ提出
必要な書類等が揃ったら、裁判所に対し、自己破産の申立てをします。
裁判所は、まず書類に不足や不備がないかといった、形式的な審査を行います。
その後、裁判所は、提出された資料等をもとに、債務者の方が返済不能な状況に陥った事情等を審査します。
債務者の方の財産の状況や、返済不能な状況に陥った事情によっては、裁判所は管財事件とする決定をし、破産管財人が選任されます。
その場合には、破産管財の予納金を納めた後で、破産手続きが開始されます。
債務者にめぼしい財産がなく、かつ免責不許可事由もないと考えられる場合、裁判所は破産手続きの開始および同時廃止の決定をします。
4 裁判所や管財人による調査や審査、債権者への配当等
管財事件となった場合、破産管財人による財産調査・評価、免責不許可事由の調査、財産の換価配当等を経て、債権者集会、免責審尋等が行われます。
5 免責許可決定・破産手続廃止決定
管財事件の場合、免責審尋等を経て、免責すべきと判断された場合、免責許可決定がなされるとともに、破産手続も廃止されます。
同時廃止の場合には、債権者による意見申述期間を経て、特に問題がなければ免責許可決定がなされ、確定後に手続きは終了します。
免責許可決定がなされることで、借金の返済義務がなくなります。