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公務員が自己破産する際の注意点|職場にバレずに借金整理できるのか
「自己破産」を裁判所に認めてもらえれば、借金を原則として0にすることができます。
しかし、自己破産をするには条件がありますし、いくつかのデメリットも存在します。
例えば公務員の方は「自分は自己破産できるのだろうか?」「職場に自己破産がバレたらどうしよう」「自己破産により職を失ったり、職場から何らかの処分を受けたりすることはないのだろうか?」と不安になるかもしれません。
この記事では、公務員が自己破産をする場合の注意点などについて解説していきます。
1 公務員も自己破産は可能
結論から言えば、公務員でも問題なく自己破産を利用できます。
自己破産手続きの利用においては、職業による制限はありません。
また、自己破産をすることによって何らかの処分を受けることもありません。
これは地方公務員であっても国家公務員であっても同様です。
例外的に、人事官、公正取引委員会や教育委員会の委員など、一部の公務員は自己破産をすると一定期間その職に就くことができなくなります。
しかし、一般的な役所に勤めている方や、警察官、消防士、自衛官や教員など、大半の公務員は自己破産の手続き中でも通常と変わらず仕事をすることができます。
また、ご自身の職業の場合はどうなるのか、併せて弁護士に確認しておくと安心でしょう。
2 自己破産が職場にバレる可能性
まず、自己破産したことを職場に報告する義務はありません。
また、自己破産をすると「官報」という日本国の機関紙にその事実が公開されますが、たとえ公務員でも官報を日常的にチェックしている人は少ないはずです。
そのため、官報が原因で職場または職場以外の知り合いに知られる可能性もほぼないと考えられます。
さらに、「自己破産をすると破産者名簿に載るから、そこからバレるのでは?」と心配する人もいますが、その心配もほとんどありません。
確かに破産者名簿というものは存在しますが、破産者名簿に載るのは、自己破産をしても「免責」を得られなかった場合など一部のケースに限られます。
「免責」は、裁判所から借金等の支払義務を免除してもらうことです。
免責を許可してもらうことが自己破産の目的となります。
弁護士の力を借りて、その指示にしっかりと従って手続きを進めれば、免責が得られずに自己破産に失敗するというケースはあまりないといえます。
なお、たとえ破産者名簿に載っても、それを見ることができる公務員は限られていますので、過度な心配は必要ないでしょう。
3 共済組合からお金を借りた場合の注意点
上記の通り、公務員が自己破産をしても基本的には職場には知られません。
しかし例外的に、公務員の共済組合からお金を借りた状態で自己破産をする場合は、自己破産のことを知られてしまいます。
共済組合は公務員向けに低金利の融資も行っていますが、これを利用している場合は注意が必要です。
弁護士に自己破産を依頼した場合には、受任通知がすべての債権者に送付されます。
また、自己破産の申立を受理した裁判所も、すべての債権者に対して「あなたの債務者が自己破産の申立てをしました」という通知を送付します。
これは共済組合であっても例外ではないので、共済組合から融資を受けたまま自己破産をすると、弁護士や裁判所からの連絡によって自己破産のことを共済組合に知られてしまいます。
そして共済組合は、融資したお金の回収を公務員の給与から天引きする形で行っています。
給料を支払っている職場と共済組合は繋がっているため、共済組合に知られると職場にも自己破産のことを知られてしまうのです。
自己破産をしても、それを理由として職場から不利益な処分を受けることはなく、仮に処分があればそれは不当なものなので弁護士に相談しましょう。
4 退職金についても処分される可能性
自己破産では、まだもらっていない退職金であっても財産とみなされて、処分される財産に含まれてしまいます。
しかし、退職金のすべてが処分されるわけではないので安心してください。
退職の時期にもよりますが、自己破産の手続き中に退職の予定がない場合、基本的には「退職金見込額の8分の1相当額」が処分の対象となります。
退職金が800万円であれば、100万円が処分の対象となるわけです。
また、退職金見込額の8分の1相当額が20万円未満であれば、退職金は処分の対象になりません。
つまり、退職金見込額が20万円の8倍である160万円までであれば、退職金の全額を手元に残せます。
ただし、公務員は他の人に比べて退職金が高額になりやすいため、「8分の1」の部分が高額になる可能性があります。
あらかじめある程度の処分を覚悟しておいた方がいいかもしれません。
5 公務員の債務整理・自己破産は弁護士に相談を
自己破産は誰でもすることができ、公務員もその例外ではありません。
しかし、公務員ならではの注意点がいくつかあり、それを把握していないといざと言うときに対処が難しくなる可能性があります。
自己破産を含む債務整理は、公務員だけでなく、人によって注意点が異なります。
適切な対処ができるように前もって準備をしておくために、弁護士の力を借りるのが賢明です。
弁護士は依頼者の状況に合わせて最善のアドバイスをしてくれます。
場合によっては、自己破産以外の方法で借金を解決できるかもしれません。
借金生活から解放されたいとお考えの方は、当法人の原則無料の法律相談をお早めにご利用ください。
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